DJはどうやって曲を探しているのか
「いい曲が見つからない」
「昔聴いていたR&Bが思い出せない」
「最近のおすすめが、どれも同じに聴こえる」
こうした悩みは、DJだけでなく、
かつて音楽に夢中だった人ほど強く感じている。
この記事では、DJが実際にやっている「曲の探し方」を整理しながら、
なぜ90年代のR&Bが、今もレコードで掘られ続けているのかを考えてみたい。
検索で曲を探す時代は、もう終わっている
今は便利な時代だ。
スマホ一台で、無数の音楽にアクセスできる。
だがその一方で、
「検索しても、刺さる曲に出会えない」という声は増えている。
理由は単純だ。
検索とは、すでに知っている言葉しか拾えない行為だからだ。
・曲名が分からない
・アーティスト名も曖昧
・ジャンルも言語化できない
こういう状態では、どれだけ検索しても答えは出てこない。
DJは「曲名」ではなく「匂い」で探している
長くDJを続けている人ほど、
曲を探すときに、曲名やランキングを見ていない。
見ているのは、もっと曖昧な情報だ。
- このレーベル、前もハズレがなかった
- このプロデューサー、あの曲と同じ匂いがする
- この年代、この国、この質感
つまり、音楽そのものより「背景」を辿っている。
これは検索やレコメンドでは、ほぼ再現できない。
だから90年代R&Bは、今もレコードで探されている
90年代のR&Bが、いまだにレコードで掘られ続けているのは偶然ではない。
当時のR&Bは、
- シングルカットが異常に多い
- 盤ごとにミックスやバージョンが違う
- B面に本命が入っていることが多い
ストリーミングでは「代表曲」だけが残り、
文脈ごと削ぎ落とされてしまった音楽が、山ほどある。
レコードを手に取ると、
- なぜこの曲がこの順番なのか
- 誰に向けて作られたのか
- どの現場で鳴っていたのか
そうした情報が、音の外側から見えてくる。
「良い90年代R&B」をまとめたディスクガイドが存在しない理由
ここで、ふと気づくことがある。
90年代R&Bの「シングル盤」に特化したディスクガイドは、ほとんど存在しない。
アルバム解説はあっても、
現場目線で使われてきたシングル盤の話は、驚くほど少ない。
理由は簡単だ。
・地域差が大きすぎる
・現場ごとに使い方が違う
・正解が一つではない
つまり、整理しきれないほど「生々しい音楽」だからだ。
曲を探すとは、正解を集めることではない
曲探しに疲れたとき、多くの人は「おすすめ」を欲しがる。
だが、DJにとっての曲探しは、
正解を集める作業ではなく、自分の感覚を取り戻す作業だ。
だからこそ、
- 時間がかかる
- 無駄が多い
- たまにしか当たらない
- 探しても出てこない
- 知らないが良いなと思う曲が多い
それが逆に面白い。
だからハマる。
90年代R&Bが、今もレコードで掘られ続けているのは、
そこに「探す余地」が残っているからだ。